備忘録/自然・文化・社会とニュース

社会とニュース

禁煙運動家の偽善

またタバコの話。
古いニュースで恐縮だが、2008年にこんな事があった。

 「タバコ問題首都圏協議会」(渡辺文学代表)は、煙草をやめた松本人志と渡辺えりに「卒煙表彰状」を贈ったというのだ。人には団体を作る自由はあるし、誰かを表彰したりするのは勝手だ。それに有名人とクライアントは持ちつ持たれつだからと、特に気にはとめていなかったのだが、筆者は最近、これが本人の承諾を得ず行われ、表彰された松本人志がこれに腹を立てていたことを知った。
 松本の弁によれば「本人に何の連絡もなく表彰し、それを公表して自分の名前を話題作りに利用した」ということらしい。さらに松本は「自分はタレントであるから名前は商品である。イメージ作りを本人の承諾なしにやってもらっては困る。現実的にはそんな事はないだろうが、表彰されたことでタバコ会社のCMの仕事がなくなる可能性だってある」と語っていた。尤もな話だと思う。
 また同団体は、過去に表彰した有名タレントの名前を並べて機関誌やネット上に公開し、あたかもその人達が嫌煙運動の応援団に見えるようにもなっている。よく考えたもんだと感心もするが、なんとも下品なやり口である。
 禁煙運動団体の「自分達の活動は正しい」「正しいことだから許される」という偽善と浅知恵が全面に出た何とも嫌な話であった。

 また「タバコ問題首都圏協議会」は、嫌煙運動に反対する有名人を「ワーストスモーカー」に指定し、その理由と名前を公表している。恐ろしい事である。大衆を煽動して行うリンチの一種といえる。
 松本はタバコをやめる前に一度この「ワーストスモーカー」に指定されている。タバコを吸ってる間は虐待し、タバコをやめたら飴を与えるということか。「タバコ問題首都圏協議会」は、喫煙者を自分が養育している奴隷の子供とでも思っているのだろう。この辺りに未開の人間を導くのが自分達の使命というような、嫌煙運動が持つ宗教的思い上がりが見て取れる。

 本人の了解もなく有名人を表彰し、それをメディアで広めるということは、有名人を自分達のコマーシャルに使うためである。特に宣伝的な意図が強い運動体の表彰は、ナチスがベルリンオリンピックを利用したのと本質的に同じである。誰かが何らかの政治的意図を持って誰かを讃えるということに、筆者は今後もっと疑い深くなろうと思った。

 「タバコ問題首都圏協議会」の代表を努める渡辺文学(ふみさと)という方は、満州生まれのお爺さんである(昭和12年生まれ)。戦前の日本の独善的な世論形成がもたらした惨禍を、身を以て体験している世代なのに、嫌煙運動の独善性に全く気づかないのは不思議である。
 日本に嫌煙権という意識がほとんどなかった1978年、渡辺が社会に嫌煙権を認めさせようという運動を開始したことは高く評価できる。しかし、仮にどんなに正しい考えであっても、大衆運動として拡大する際には、その方法論を絶えず吟味しないと、大衆によって運動が単純化し暴力化していく。そのことにもっと注意を払うべきであろう(でも彼らは確信犯であるから、そんなことはしないだろな)。

 おまけの煙草情報。
 下は日本のタバコ農家のタバコ葉選別作業。時間をかけて乾燥させた葉は、一枚一枚を綺麗に掃除した後、JTの求める品質ランクに沿って分類、納品される。葉の等級によって当然値段は変わる。
 葉の色にも細かい指定があって、選別にはJTが指定する波長の照明の下で行われる。ここまで品質に拘る作物はないだろう。こうした繊細な煙草作りは日本の伝統。近年は荒っぽい管理の下で大量生産された安い輸入葉が多く使われるようになった。
タバコ葉選別作業
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おーい松ちゃんタバコ再開発しろよー肺癌になってくれよ~一度に15本を加えて人間煙突となり早く末期の(松っ期の)肺癌になってくれよ~。
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プロフィール

Kimupon_Cicadan 木村 義志

Author:Kimupon_Cicadan 木村 義志
出身地 : 大阪市
現住所 : 東京都
1955年生まれ
科学図書執筆編集のお仕事
分野は生物学系

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