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日本の美しい教会建築-3/平戸-平戸教会(平戸ザビエル記念教会)

 しばらくブログの更新をサボってしまった。その間にこのページを開いて下さった皆様、本当に申し訳ない。
先日久しぶりに長崎に行って教会の写真を撮ったので、以前のと合わせて教会シリーズ ? を引き続きアップしたい。

 というわけでまずこの写真から。これは平戸名所の一つ「寺と教会が見える坂道」。手前が浄土真宗の光明寺で、奥に見える塔はカトリック平戸教会(聖フランシスコ・ザビエル記念聖堂や、平戸ザビエル記念教会とも呼ばれる。色々な名前で呼ばれる教会だが、本稿ではシンプルに平戸教会と書かせていただく)。
平戸教会光明寺
 光明寺は17世紀の初頭から続く名刹。境内にはいくつもの建物があり、特に19世紀の整備事業で整えられた経堂、鐘楼、山門は、意匠や施工技術が優れているだけでなく、坂道から眺めることを意識した(ような)絶妙の配置となっている。
 一方平戸教会は、いうまでもないことだが光明寺よりずっと新しい。大正2年(1913年)頃、前身となる集会所か巡回教会を、現在ある聖堂の近くに建てたと伝えられるが、司祭のいる本格的な教会が正式に設立(法人登録)されるのは、昭和5年(1930年)まで待たねばならなかった。現在の聖堂はその1年後の昭和6年竣工。平戸島に5つあるカトリック教会の中では、最も後から生まれた若い教会である。

 光明寺や平戸教会が建っている平戸市境川町は、松浦氏代々の居城を臨む城下町の一部である。いわば平戸島の首都。現在も近くに平戸市役所や平戸警察署などがある。
 平戸島のこんな大きな町に昭和5年まで教会がなかったというのはちょっと不思議な気もするが、よく考えてみるとこの町は、過酷なキリシタン弾圧を行った権力者のお膝元でもある。そのため、明治6年(1873年)にキリシタンの禁教が廃止されても、この町にはキリスト教に復帰する潜伏キリシタンも、新しくキリスト教徒になろうと思う者も、ほとんどいなかったという。
 自前の教会を持つほどに信者が増えるまでは、最寄りの上神崎教会や、小教区の主任教会であった紐差教会が、この町のキリスト教徒の面倒を見ていた。
平戸教会聖堂
 建物は鉄筋コンクリート製で重層屋根構造の平屋。設計は上神崎教会も手がけた末広設計事務所で、設計主任者の名前は分からなかった。ヨーロッパのクラシカルなゴシック様式の教会を手本に建てられているが、コンクリートらしい直線で簡潔にまとめられた装飾と、緑(シアンが多めの緑に白を混ぜたような微妙な色)と白の塗装に、石造りの本格ゴシックにはない清々しさが感じられる。
 中央の高塔(鐘塔)は3層で、先端に十字架を頂く尖り屋根は八角錐。正面から見たデザインは左右対称ではなく、向かって左側にだけ小窓のある八角形の小塔が付く。
平戸教会堂内
 内部は三廊式で中央の幅は約6mあり、左右の側廊はその半分ほど。正面のドアから祭壇までは20mほどある。
 天井はリヴ・ヴォールトで、細い骨と板の白さが相まって非常に繊細で軽やかな印象を受ける。柱は一見大理石に見えるが実は漆喰仕上げで、建築史の川上秀人らが解説する「長崎の教会(智書房)」によると、下に塗った顔料を白漆喰の表面にしみ出させる技法が使われているという。
 また柱頭の飾りは真っ黒に塗られ、柱のぼんやりした色と模様を引き締める意図が感じられるが、下段のものは少し目立ち過ぎるように思う。
平戸教会聖堂奥
 奥の祭壇側から見た建物。飛梁(上の写真にある上層側壁から斜め下に伸びて下層外壁の柱につながる梁)の列がゴシック様式の雰囲気を漂わせているが、ノートルダム寺院などの長大な飛梁に較べれば「これで本当に壁の強度に貢献してるの ? 」と確認したくなるほど小さく控えめである。
平戸教会ザビエル像
 上は境内に立つ聖フランシスコ・ザビエル像。建立されたのは昭和46年(1971年)で、この年は聖堂の竣工40周年にあたる。以後この教会は「聖フランシスコ・ザビエル記念聖堂」と呼ばれることになったが、その後また改名して「平戸ザビエル記念教会」という名称も使われるようになった。
 地図サイトを見ると、Mapion、いつもNAVI、Yahoo地図、goo地図、ing 地図などが「聖フランシスコ・ザビエル記念聖堂」と表記した地図を使用し、Google map、Map Fan Web、NVITIMEなどが「カトリック平戸ザビエル記念教会」という表記の地図を使用していた。

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プロフィール

Kimupon_Cicadan 木村 義志

Author:Kimupon_Cicadan 木村 義志
出身地 : 大阪市
現住所 : 東京都
1955年生まれ
科学図書執筆編集のお仕事
分野は生物学系

写真は特にクレジットや注釈がない限り筆者の撮影です。記事や写真についてのお問合せはなんなりと。
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