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「食べログ」無責任な評価をばらまいておきながら何をいっておるのか

 昨年に引き続き厳しい年になりそうですが、本年も自然と文化財と社会の記事を気ままに書きますのでよろしく願います。
 新年最初のテーマは新聞の小ネタから。たいした話じゃないけど、なんじゃこれはと思ったので。

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この写真は萩名物の赤甘鯛。本件とは無関係だが正月っぽい彩りの料理だったので。

 新聞やテレビのニュースによると、ネットの人気ランキングサイト「食べログ」で、複数の業者が飲食店から金をとって、その店に有利な書き込みをしたことに対し、「食べログ」を主催するネット業者の(株)カカクコムが、それをやめるよう警告し、従わない業者には法的措置を検討するといってるらしい。
「食べログ」やらせ書き込み、請負39業者が…(読売オンライン)

 筆者には「食べログ」が業者にやめるよう警告したり、法的措置をとるとすごむ姿が滑稽に見えた。少なくとも同じ穴のムジナというか、どっちもどっちのいい勝負に思える。以下にその理由を説明する。

 事業者の業務内容を評価し、それを一般公開することは事業者の業績に直結するのだから、そこには大きな責任が伴う。しかし「食べログ」は匿名の不特定多数が勝手な評価を行い、内容をそのまま世間にばらまくという無責任なものだ。
 投稿を勧誘する説明には「あなたの採点で、お店や商品のレーティング(評価)が決まります」と書かれているが、評価の根拠や基準はもちろん、主催者と投稿者の責任について何も語られていない。
 投稿数は主催者が内容をいちいち確認できる程の量ではなく(67万5千店舗に対し317万本の評価が集まっている)、店を中傷するようなキーワードを検索して書き込みを削除するぐらいのことしかできないはずである。

 内容が同程度のライバル店があったとして、一方にシンパシーを感じる者が作為的に両者に差をつけた評価を書き込めば、それがそのまま「食べログ」の評価として公表されるのである。例えば旅行者の利用が多い郷土料理の店が、狭い地域に複数ある場合など、その影響は決して小さくないだろう。それに気づいた各店が「食べログ」への対策を考えるのは当然である。

 「食べログ」は自らが広めようとしている店の評価を「口コミ」などと称しているが、日本語は正しく使っていただきたいものである。「口コミ」とは、人から人へと直接伝えられる、伝達速度が遅く伝達範囲も狭い、規模が小さな不確実な情報を指す。国語辞典には「うわさ・評判などを口伝えに広めること」とある。だから「食べログ」は口コミではない。情報量が膨大で、しかもそれが利用しやすい形に自動的に整理編集され、さらには全国各地へ瞬時に伝達されるのである。こんなものは立派なメディアであって、書籍のグルメガイドを上回る力を持っている。
 主催者が「口コミ」などというのは、影響力の大きいメディア管理者としての意識の低さが現れているといわれても文句はいえまい。そうでなければ責任逃れの方便に近い。

 口コミと称して無責任な情報を、伝達機能の高いツールを使ってばらまいておきながら、書き込みに不正があったとして法的措置を云々するとは、ちょっと卑怯な気がする。
 もし情報の精度を高めたいのであれば、まずは投稿システムを改善し、主催者と投稿者の責任を明確にしていくべきで、場合によっては低い評価をされた者が、評者に直接抗議できるような手だても必要であろう。
 せめて、サイトの目立つ所に「これは個人の無責任な評価ですから、実際の内容と異なる場合があります。ご自身でお確かめください」と明記すべきではなかろうか。しかし「食べログ」は、驚いた事に「お店選びで失敗しない、本当に信頼できるグルメサイトを実現しています」などと大きなことをいっているのである。その責任の重さに気づいているのだろうか。

 素人の勝手な評価で同レベルのライバル店に差を付けられ、不利益を被ったからといって、このメディアを訴えて勝利することは、現状では難しいだろう。
 飲食店などというものは、味やサービスだけでなく、風評で成功し、風評でつぶされることもある。だったら、金を払ってでも自分の店の評価が上がる書き込みをしてもらい、店を繁盛させたいと考える人が多くいるのは当然であり、一方的に責める事はできないと思うのである。なんせ、不特定多数による無責任な個人的感想を、前述したように「お店選びで失敗しない、本当に信頼できるグルメサイトを実現しています」と吹聴しているのであるから。


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プロフィール

Kimupon_Cicadan 木村 義志

Author:Kimupon_Cicadan 木村 義志
出身地 : 大阪市
現住所 : 東京都
1955年生まれ
科学図書執筆編集のお仕事
分野は生物学系

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