備忘録/自然・文化・社会とニュース

文化財

平戸オランダ商館

 今年(2008年)は九州に4回も行くことができ、西国好きとしてはとても満足な1年だった。色々と結構な物を拝見したけれど、思いのほかよかったのが平戸オランダ商館跡。「平戸オランダ商館長日記(岩波/永積洋子訳注)」とフランソワ(訳者によってはフランア)・カロンの「日本大王国志(平凡社/幸田成友訳)」を読んでとても行きたくなったのだ。商館長日記はオランダ東インド会社の業務日誌であるから、資料としての価値は高くても読み物としては退屈な部分が多い。なんでそんな本に興味を持ったのかはよく覚えていないが、基本的に外国人の見た昔の日本の記録が好きなのである。
 長崎市の出島が都市化の波に飲み込まれてしまったので、それより早く消えた平戸などほとんど何も残っていまいと思っていたが、そうではなかった。無理して足を伸ばして本当によかった。「思いのほかよかった」などと控えめに書いてしまったがたが、実はとても感動し、そこらを撫でまわしてきた。

オランダ商館02

 写真は平戸オランダ商館があった場所の現状。当時のオランダ商館員に今の風景を見せても、すぐにそれが平戸だと分かるのではないだろうか。もちろん平戸市のオランダ商館復元整備事業によって「見やすく」なっていることは確かだが、基本的な地形はさほど変っていない。

オランダ商館01

 アーノルダス・モンタヌスの「日本誌」にある挿絵「Firando(平戸)」の左に見える坂道は、現状の写真の左に見えるオランダ塀のある坂道らしい。 オランダ塀はオランダ商館が目隠しのために築いた石塀とされ今も残っている。

オランダ商館03

 海岸の石積みは改修されているが、部分的に古いものも見られ、後ろの小山が残っているので、当時の姿を彷彿とさせる。発掘調査で倉庫の基礎や古い護岸が出ており、一部は埋め戻さず屋外展示されていた。

オランダ商館04

 商館を破壊され失意のうちに日本を去った最後の平戸商館長フランソワ・カロンを偲んで、坂の途中にカロンの名を冠した小さな公園があり、その片隅に日本で亡くなった平戸オランダ商館員を追悼する石碑があった。
 徳川幕府はオランダ商館員が日本で亡くなっても墓地に埋葬することを禁じていた。だからこの地にオランダ人の墓はない。オランダ商館長日記には船で遺体を海底に捨てた事が記されている。埋葬を禁じた理由は、キリスト教信者の墓が潜伏するキリシタンの聖地となり、彼らの信仰心が強化されることを警戒したからだ。

オランダ商館05

 写真では見えにくい碑文を書いておく。商館にはオランダ以外の出身者もいたことが名前から推測される。碑文は日蘭二か国語表記であった。

<大航海時代の冒険者たち。その礎の上に今の私たちはある。眠り給え、ここを小さなオランダとして>

ギルバート・カニング(使用人)
コルネリウス・トマーセン(不明)
ジョン・ピーターソン(水夫)
ジョン・ジョンソン(不明)
ジョンソン・ファン・ハムホルグ(不明)
ウィルレム・コルネリス・ハイヘン(次期商館長予定者)
レオナルド・カンプス(商館長)
ヨッフム・ファン・デル・アス(商館員)
イサク・ボガート(商館員)
ラウレンス・ヌイツ(不明/東インド会社台湾長官ピーテル・ヌイツの息子)
コルネリス・ファン・ナイエンローデ(商館長)
ピーテル・ヤンス・マイセル(商館員)
ヒリス(煉瓦職人)
ヤン・ファルカス・クイベル(不明)
ダニエル・レイニールス(商館員)
ハンス・アンドリアス(計理助手)

  死亡年月日順、カッコ内役職

自然

肉食川魚の旨さ



 ウシにしろヒツジにしろ店で売られている肉には草食獣が多く、ブタは雑食だが飼料は植物質の比率が高い。野生獣でもシカやイノシシ、小形のものではウサギがよく利用されている。海産哺乳類、特にクジラ類もよく利用されてきたが、欧米から輸入された近代日本の肉食文化は草食動物が主流だ。 完全な肉食動物の山猫やイタチやテンの類が旨いという話はあまり聞かない。
 昔話にはムジナ汁が出て来るが、イヌ科のタヌキをムジナと呼ぶ地域と、イタチ科のアナグマをムジナと呼ぶ地域があり、また両者を呼び分けない地域もあるという。イヌ科のタヌキは獣臭くてあまり旨くないそうだ。アナグマはとても旨いというのが通説になっているが捕れる量が限られている。ツキノワグマが旨いという人もいるが、これも量が限られている。

 魚はこうした差はあまり無いようだが、川魚についていえば肉食魚の方が旨いと思う。
 中でもカジカの仲間は頗る旨い。塩焼きはもちろん素焼きを椀に入れ熱燗を注いだ鰍酒は逸品。フグの鰭酒がなんぼのもんじゃい。そうそう、長良川で捕れた大きなアユカケの刺身も旨かったなあ。
 そりゃ海産魚には旨いものがいっぱいあるけど、山の空気の中で自然を愛でながら食う新鮮なカジカの味には、他では得難いものがあるのだ。
 カジカはダムによって激減した魚。これが食えなくなることだけでも中下流のダム建設に反対する理由になると思う。
プロフィール

Kimupon_Cicadan 木村 義志

Author:Kimupon_Cicadan 木村 義志
出身地 : 大阪市
現住所 : 東京都
1955年生まれ
科学図書執筆編集のお仕事
分野は生物学系

写真は特にクレジットや注釈がない限り筆者の撮影です。記事や写真についてのお問合せはなんなりと。
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